障害年金と老齢年金

年金の種類

年金の給付内容は、大きく分けて以下の3つです。

1、老齢年金(人により異なりますが、60歳以降のある時点で、支給される年金。多くの方が、「年金」というとこのことをイメージされていると思います。)

2、障害年金(所定の障害の状態となった場合に、支給される年金。)

3、遺族年金(死亡された方の配偶者など、一定の範囲の親族に支給される年金。)


65歳以上の方が障害年金の申請をする場合の問題点

障害年金とは、障害のため就労が出来ない若しくは制限される現役世代(20~64歳)の方が主に申請及び受給する制度であり、65歳以上の方が就労出来ないという状態については老齢年金でカバーされているというのが基本的な制度の趣旨です。(障害年金について詳しくはこちら

したがいまして、65歳以降に発病した場合は原則として障害年金の対象にはなりません。(例えば、70歳頃より難聴となった、80歳の方が交通事故に遭われた、など)

また、発病日や初診日が64歳までに発生していても、65歳を過ぎてからの申請には以下のような問題点があります。        

1、事後重症で障害年金を申請する場合の期限

障害年金を事後重症請求する場合の期限は、64歳までです。従って、65歳を過ぎてから症状が悪化しはじめたからという、下図(2)での申請は不可能です。

2、認定日請求は出来ますが・・・

下図(1)の認定日請求という、過去の時点より症状が重かったからという形での申請ならば可能ですが、その際には、原則的には障害認定日時点(多くは初診日から1年6か月経過時点)における診断書を取得する必要があります。

しかし、まずその場合、その時点での診断書を取得できるのか、という問題があります。これは初診日を証明できるのかという問題以上に困難を伴うことが多いです。                       初診日及び認定日がいつころなのか、どのような障害なのかなどにより難易度はケースバイケースで異なりますが、例えば、現在70歳の方で初診日が30歳0か月時とした場合、31歳6か月時という約40年近く前のしかもかなりのピンポイントな時点での診断書を取得する必要がありますが、そこまで過去のこととなると通常それは容易な事ではありません。

そしてもちろん重要なのは、それが等級に該当していないと受給できません。つまり、上記の例で言いますと31歳6か月時点から所定の障害状態にあることが必要であります。しかし、多くの方は、初診日以降緩やかに症状が悪化しているため、この時点では際立った症状はなかったというケースが65歳以上の方のご相談の大半であるというのが実情です。(逆に、64歳までであれば(2)の申請が可能ですので、特に現在64歳の方は大至急ご相談ください)

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3、年金の併給調整

まだ更に問題はあります。上記の3種類の年金は、原則として併給は出来ません。つまり、仮に上記2のやり方で障害年金の受給権を得たとしても、単純に老齢年金に上乗せして障害年金が支給されるわけではありません。

つまり、65歳以上の方で(老齢基礎年金+老齢厚生年金)を受給している方が、上記2のやり方で障害基礎年金と障害厚生年金の受給権も得た場合、この4つの年金を併せて受給できるわけではありません。

併給の仕方としては、2つの基礎年金のうち多い方と、2つの厚生年金のうち多い方を選択して受給することになります。

ただし、老齢基礎年金+障害厚生年金という選択は出来ません。従って、2のやり方を前提とするとしても、障害基礎年金の対象とならない3級で認定となった場合には多くの場合で意味がありません。


このサイトの意義

65歳以上の方が障害年金の申請を検討するには、以上のような気の遠くなるような過程を経てそれが成功したとしてもわずかばかりのメリットしか得られない場合がほとんどであると考えられます。

もちろん、65歳以上の方からの障害年金のご相談も承りますが、上記のような様々な問題点があるということはご留意いただければと思います。

しかしながら、老齢年金額が少額であると思われているということをきっかけとして障害年金のお問い合わせをされている場合も多いと思います。

当社労士事務所では、このような場合むしろ老齢年金の増額が出来ないかという観点からも検証を行い、ご依頼者様にとって最も有利になるご提案が出来ればと思っております。