病気になったら(障害年金・健康保険・雇用保険)

1.病気になった場合の社会保険の基礎知識
  1-1.高額療養費 
  1-2.傷病手当金→障害年金 
  1-3.失業保険 
  1-4.生活保護 
2.それぞれの問題点
  2-1.高額療養費の問題点
  2-2.傷病手当金の問題点
  2-3.障害年金の問題点
  2-4.雇用保険の問題点
  2-5.生活保護の問題点
3.「足りない」を補う手段
  3-1.やっぱり最強は社会保険
  3-2.高額療養費の足りないを補うなら
  3-3.傷病手当金、障害年金の足りないを補うなら
  3-4.障害年金とがん保険

1.病気になった場合の社会保険の基礎知識

1-1.高額療養費 ~治療費の問題~

高額な医療費がかかる場合には、健康保険の一つの制度として高額療養費の給付制度があります。

要するに、各人の所得等に応じて、負担すべき治療費の上限額が定められております。つまり、その上限額以上は実質的には負担をしなくていいということになります。

70歳未満の社会保険加入者の場合ならば以下のとおりとなります。

所得区分
(標準報酬月額)
自己負担限度額 1年で4回目以上の場合
83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 141,000円
79~53万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
50~28万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
26万円以下 57,600円 44,400円
非課税世帯 35,400円 24,600円

 

原則的には、3割負担分を一旦病院で支払ってから、健康保険に申請したら、上記の計算式に基づいて算出される自己負担限度額を超える分が戻ってくるという仕組みです。

高額療養費=3割負担分-自己負担限度額

 

ですので、一旦はまとまったキャッシュが必要なわけですが、例えばがんによる抗がん剤治療など、ある程度以上の継続した治療を要することが見込まれる場合には予め限度額適用認定証を健康保険で支給してもらいそれを窓口で提示すれば建て替えの必要がありません。

また、建て替えのキャッシュを用意することが困難な場合には高額療養費貸付制度もあります。


1-2.傷病手当金 → 障害年金  ~生活費の問題~

病気になって働けないことによる収入の喪失を補うものとして、傷病手当金あるいは障害年金という制度があります(障害年金について詳しくはこちら)。

※障害年金というネーミングが、何か障害者手帳などと連動するものというような誤解を招きがちですが、そうではなく、傷病により労働能力が喪失減退している場合には申請を考えるものです。

多くの場合、以下のような流れとなります。


(社会保険の方の場合)

1年半まで:健康保険から傷病手当金が支給されます。(ざっくりいうと給料の2/3の金額)

1年半経過後:障害年金の申請は、多くの場合初診日から1年半後です。つまり、傷病手当金の限度期間である1年半が過ぎたあたりから障害年金の申請が可能となるので、その際の病状の程度によってはそちらに切り替えるということになります。

 

(国民年金・国保や扶養の方の場合)

1年半まで:なにもなし

1年半経過後:障害基礎年金の申請が可能です

 

(障害年金の金額)

  1級 2級 3級
厚生年金(2階) (報酬比例額) (報酬比例額) (報酬比例額)
※最低補償額585,100円
基礎年金(1階) 約81,000円 約65,000円/月 なし

初診日に国民年金の方は、1階部分のみが対象になります。従って3級に該当する場合は何もありません。

初診日に厚生年金の方は、1階2階いずれも対象となります。2階部分の厚生年金の金額は、掛けてきた厚生年金の実績により人によって異なります(報酬比例額)。

また、この他、2級以上に該当した場合に加算・加給対象者がいる場合には(約18,000円/月)が上乗せされます。

 



1-3.失業保険 ある程度の就労が可能な程度にまで回復した場合の話

 

(延長申請について)

病気になって、結果退職を余儀なくされる方もおられるでしょう。その後ある程度の就労が可能な程度にまで回復した場合には求職期間中に雇用保険を受給できます。

ただ、雇用保険の失業給付は離職後1年以内と受給期間は決まっていますから、まだ療養中だという場合は最大4年間その期間を延長できますので、その旨の申請をしておきましょう。

 

(就職困難者について)

傷病の治療の結果の後遺症により障害者手帳を有するようになった状態での求職ならば、自己都合の場合に課される待機期間がなかったり、受給期間が通常より多くなるなどの措置があったりします。

 

 



1-4.生活保護


以上のような社会保険によるセーフティネットが日本にはありますが、それの対象にはならない(年金未納とか)とかそれではなお不十分という場合には、最終的には生活保護があります。

しかし、この制度は保険のように受益者が負担した保険料を原資とするようなものではないので、社会保険労務士の業務範囲外ですので詳細は割愛します。



2.それぞれの問題点

当事務所では、これまで特に、障害年金の依頼を通じて活動してまいりました。その業務を通じて、実際発病後に困っておられる方の実例をもとに問題点を洗い出してみました。

2-1.高額療養費の問題点

 

高額療養費は、差額ベッド代や先進医療などの保険適用外のものには対応していません。

先進医療費用は通常数百万円を全額自己負担でということになりますが、出来る治療方法があるならばそれを選択したいと思っても、経済的に断念せざるを得ない場合が大半かと思われます。

 

2-2.傷病手当金の問題点

 

(社会保険加入の方)

社会保険加入の方はざっくり給料の2/3の傷病手当金の補償があるわけですが、逆に言うと残りの1/3は不足するという問題があります。

 

(国保や扶養の方)

傷病手当金は、上述のとおり、社会保険加入者だけの制度です。従って、国保国年の自営業者や専業主婦や無職者などは1年半は何ら補償がありません。

なお、正当な何らかの手段で発病後に社会保険に加入して傷病手当金を受給するということは、実は不可能ではありません。

しかしながら、社会保険に加入して12か月以内の場合の傷病手当金の受給額は上限(標準報酬月額30万円)が定められており、実際の標準報酬月額が30万円以上であったとしても、30万円をベースとして受給金額が決まります。

 

例えばですが、国民年金で国保である自営業者Aさんが病気になったとして、例えば親族の会社B社に雇用されることになって月給50万円(標準報酬月額50万円)で社会保険に加入するとします(もちろん実質的にも形式的にも本当に就労実態が伴うという前提です)。

そしてその数か月後とかにAさんがいよいよ病休に入ったとしたら、傷病手当金は受給はできます。けれども、この場合実際の報酬である50万円ではなく30万円をベースとして受給金額が計算されるということになります。しかしながら、もちろん支払う保険料は50万円をベースとすることになります。

すると、この場合の月当たりの収支の計算をすれば

収入:約20万円(30万円の2/3)

支出:約15万円(標準報酬月額50万円の保険料の全額。なお、本来ならばこれをB社と折半した金額約75,000円がAさんの負担額ですが、こういう状況で保険料の半分をB社が負担してくれることはなかなか期待しえないと思われます。)

となり、せいぜい5万円程度のメリットしか見込まれません。

 

(結論)

そもそも、保険という制度の大原則から言いますと、保険事故が起こった後に保険加入して給付が行われるというのは異例中の異例な取り扱いなわけで、そのような趣旨でこの給付の上限の制度が設けられているものと思われます。

また、それ故に発病初診以降の社会保険加入により給付を得ているようなケースだと状況によっては事業所にも調査(本当にAさんはB社での雇用実態があるのかという意味での)が入る可能性はあり得るのではないかと見ています。

 

2-3.障害年金の問題点 

これまで障害年金でやってきた当事務所にとってはこの点が一番述べたいところであります。事前に何か策を講じる余地があるならばぜひ対応していただきたいと思っています。

 

①障害年金は、原則1年半経過するまでは申請できません。

年間300件程度のご相談をお受けしていると、いたたまれなくなるようなご相談もあります。例えば、

相談者「先日、がんと診断されて余命1年半と宣告された。障害年金は申請できますか?こちらは自営業で国民年金で国保です。」

当事務所「障害年金は初診から1年半経過後に申請可能ですので、国保でしたら今の時点では傷病手当金もないですけれどもどうしようもありません。」

相談者「1年半後かぁ、ちょうど死んでる時ですね」

となって、こちらもやり切れない思いで終話することもあります。

 

②審査が遅い

障害年金の申請はやはり大変で、例えば当事務所で受任した場合でも、受任してから申請するまでには少なくとも1か月程度はかかっていますし、複雑な調査などを要する場合などは2~3か月程度かかることもあります。

 

そして、申請後もおおよそ3~4か月は結果が到着するまでには要します。中には複雑な案件で何度も返戻があり、半年~1年程度かかったこともありました。

また、申請の結果不支給となって不服申し立てを行う場合には、審査請求で大体半年くらい、再審査請求で大体8か月~1年程度はかかっていますので、やはり2年コースになってしまうことは覚悟せねばなりません。

それでも通常通りの3か月というのも、待っている身としてはかなり長く感じるものです。依頼者さんから「どうなるかと日々悶々として、もう待ち疲れてしまいました」と電話口でさめざめ泣かれたこともあります。

そして、いざ受給が決まったとしても、そこから現金支給があるのは1~2か月弱ほど要します。年金の支給があるのは必ず15日と決まっていますので、例えばある月の15日の支払いにギリギリ間に合わなかったから16日の支払いになるかというとそういう風にはなりません。翌月の15日まで待たねばなりません。

というようなことで、これらを合わせて考えますと、申請をしようと思い立ってから実際に現金支給があるまでには、標準的には6か月程度はかかってしまいます。病気のための収入保障という観点からは、①のことも合わせて考えますと実に初診から2年程度はありがたみのないものという側面はあります。

 

とはいえ、やらないことには始まらないので、うちで依頼を受けたら速やかに動いてはいますが、しかし、ありがたみの薄さという点で言うとカイジのトネガワの以下の理不尽な言葉が思い出されてしまいます。

「(金を)出す!出すが、今回まだその時と場所の指定まではしていない。そのことをどうか諸君も思い出していただきたい。つまり我々がその気になれば金の受け渡しは10年20年後ということも可能だろう、ということ!」

 

③審査の不安定感

詳しくは姉妹サイトで嫌というほど説明していますが、審査の不安定さは否めないところであり、だからこそ当事務所含め社労士へ依頼して安定感を求めようという方が大勢いらっしゃいます。

そもそも障害年金とは~病と診断されただけで受給できるものではないですし、単に就労が出来ないから必ずもらえるというものでもありません。よって、その障害の程度が細かく問われるわけですが、まずその仕組みそのものが(あえて?)あいまいなところが枚挙に暇がないくらいあるところ。そして、その結果医師の判断もブレが生じるところです。

傷病の類型別にいえば、ある程度ブレが少ないのは、眼とか聴力くらいで、それ以外は医師の診断も年金機構の審査もどこか恣意的あいまいな部分を多く孕むような構造となっています。

精神系は言うまでもなく、科学的に数値化できないものです。肢体系はどうなのかというと、これも例えば、(日常生活における動作のほとんどが 「一人でできるが非常に不自由な場合」に2級とする)というような規定があるのですが、チェックされる日常動作が20項目ある中で、「ほとんど」というのは、いくつをいうのか?19だったらOKで15とかだとアウトなのか、とかそういう問題があります。もちろんその前段階の問題としてある人の動作を見て非常に不自由と思う医師もいればそうでない医師もいたりするわけで、そういう段階でもブレが生じ始めます。

 

④金額の問題

(厚生年金の場合)

やはり、厚生年金の方が手厚いし3級まであるという意味では補償の範囲も広いのですが、しかし発病前の生活水準をカバーできるものかというと、足りないということがほとんどではないかと思われます。

ざっくり言いますと、3級の最低保証額だと月当たり5万円弱となります。2級の場合だと基礎年金部分も併せると月10万円程度(+子や配偶者がいる場合は加算)になる場合が多いような印象があります。

 

(基礎年金だけの場合)

特に国年の方の場合は、3級だと何もないですし、2級でも月65,000円ほどの支給に止まります。もちろん多くの場合2級というのは就労が不可能な場合を前提としているものですから、この金額だけで生活を維持しようとすれば容易ではないと思われます。

変な例えですが、完全に国民年金だけの人というのは、この世知辛い世の中にパンツ1枚だけ身に着けて立ち向かっているようなものだと日々感じています。また、それすら未納の人からの相談もありますが、その場合どうしようもない場合がほとんどです。そのような人はパンツすら履いてないということを意味します。

 

⑤65歳以上の方は制度上申請自体が不可という場合がほとんど

詳しくはこちら。昨今この種のお問い合わせが非常に多いのですが、多くの場合老齢年金という形ですでに年金を受給しているわけです。

何かこの点しっくりいっていない人がほとんどなので、こういう相談が後を絶たないのでしょうけれども、言ってみれば、一口分しか保険をかけていないのに二口分の支給を求めているわけですから、そんな都合のいい話はございませんということになります。

 

⑥社労士に依頼すれば社労士報酬がかかる

というような中で、社労士に依頼しようと思えば、もちろん当事務所でもそうですが、報酬の支払いが発生します。一社労士からすれば全体像が分からないところがありますが、恐らく全体の中で社労士が絡んでいる案件というのは2割にも満たないのではないかと思われます。

もちろん、ご自身で手続きできる自信があるから社労士に依頼しないんだという方はそれで全然OKだと思いますけれども、依頼したいが支払う余力がないという方はそういうこともあらかじめ計算に入れておかねばならないだろうと思います。

 

 

 

2-4.失業保険 併給は禁止されていないが

 

(雇用保険と傷病手当金)

まず、雇用保険と上述の傷病手当金との併給が可能なのかという点ですが、傷病手当金は労務不能が前提となるものであり、雇用保険は就労の意思及び能力が前提となるものですからそういう意味では併給は不可です。

なお、最近、最大28か月分の失業保険を受給できますというようなコンサルタントを名乗る者がいるようですが、明らかにおかしなことを言っています。ありません、そんなものは!!!

 

(雇用保険と障害年金)

では、雇用保険と障害年金との併給はどうかというと、こちらは併給禁止の規定はありません。


障害年金は必ずしも完全に就労不可でなければ受給できないものではないわけで、例えば視力障害により障害年金を受給する場合には、視力が規定値以下に下がったために受給するものであり、視力が下がったことにより労務不能になったことにより受給するということではありません。
また、障害年金でいうところの3級とはある程度の労働力が残存していても受給可能なものという風に決められています。

 

 

2-5.生活保護 

ここでも、同様に多くは記述しませんが、生活保護は他法優先であるため、働いて収入を得たとか、障害年金を受給するようになったなどで、他に所得が生じた場合にはその分が差し引かれる仕組みになっています。



3.「足りない」を補う手段

3-1.やっぱり最強は社会保険!

(結論)

社会保険及び民間保険を熟知する立場から検証した結果、最強の保障はやはり社会保険(厚生年金・健康保険)であるという結論に達しました。


(理由)

①およそ全ての傷病に対応する。(精神疾患含む)
②症状が続く限りは永遠にもらえる
③物価変動に対応
④健保の傷病手当金があるから補償に切れ目がない

 

したがって、状況にもよりますが、特に国民年金で国保の自営業者の方などが補償を考える場合には、まず社会保険に加入することが出来そうかどうかというところから検討していかれるべきだろうと思います。

また、一般の会社員の方が、何らかの体調不良で勤務先を辞めるというような場合は必ずどこかの医療機関を受診してはっきりさせてから退職されることをお勧めします。実際に、そのようなケースで、まず退職しそれから受診していたという方からの依頼をお受けして、泣く泣く基礎年金での申請となってしまったケースもあります。

また、体調不良ではなくてもできるだけ人間ドックなどを受診するなどしてから退職されることもお勧めします。

(加入する方法)

自営業の方が社会保険に加入するには、主には法人成りなどの手法が考えられます。その場合、予測される所得額にもよりますが、節税効果もありますので、それを原資に社会保険加入を考えるというのも一つの方策ではないかと思います。



3-2.高額療養費の足りないを補うなら!

(先進医療特約)

先進医療費用は、保険適用外ですので、例えば、兵庫県立粒子線医療センターの粒子線治療料(照射技術料)は2,883,000円(※同院HPより)であり、これを全額自己負担せねばなりません。

しかし、先進医療費用特約を付帯した保険に入っていれば、この費用までも、わずかな掛け金にて補償することができます。


(医療保険)

また、通常の健康保険の範囲内において、高額療養費を使ったとしても、自己負担分というのは必ず出てきます。その分までカバーしようという場合にはやはり各種民間医療保険での医療保険への加入をお勧めします。

 

3-3.傷病手当金、障害年金の足りないを補うなら!

(収入補償保険のメリット)

収入保障保険とは、病気で働けない場合を対象とした民間の保険です。条件としては各保険会社が定める条件があります。特に、公的な保険(障害年金)と比較した場合のメリットは、何と言っても支給までの日数が早い点です。

通常は書類到着後4営業日以内には支払があります。また、必ずしも1年半待つ必要もありませんので、その面でも意味があり得るものです。

また、各社で定める条件は障害年金で定められている等級の基準とも違いますので、障害年金は受給できなくともこちらは受給できるという場合もあり得ると思います。

なお、各種公的制度と支給が連動している商品も多いです(障害者手帳~級あるいは障害年金~級以上受給出来たら支給するなど) 

 

(収入保障保険のデメリット)

また、社会保険と比較した場合の弱点は以下のとおりです。

  社会保険 民間保険
対象傷病 ほとんどに対応 精神はほぼ対象外
期間 症状が続く限りは永久 有期
物価変動リスク 対応 非対応
保険料の税処理 全額経費 一部

 

(結論)

収入保障保険が、公的保険特に障害年金の穴を埋め切れるものであればいいのですが、上記比較からもわかるように、現状完全に埋め切れるものであるとまでは言えないというのが実際のところだと言えます。

しかし、これは通常死亡保障につく特約という位置づけのもですので、現在加入の生命保険の見直しの際には検討に値するものだと思います。

 

3-4.がん保険と障害年金 

(がんも障害年金の対象です、が、)

「がんも障害年金の対象となります」と大々的に謳っている社労士事務所のサイトは結構見かけます。それはその通りですし、当事務所でも多数認定実績はありますけれども、当事務所で数多くの依頼を遂行してきて今思うのは、障害年金が結果としてもらえたとしても実効性がないというか、ありがたみが薄いケースが非常に目に付くということです。

 

(がんと障害年金の相性が悪い理由)

その理由は、まずは、上述のとおり障害年金は原則1年半経過してから申請可能ですし、申請してからも実際入金になるまでは半年ほどかかりますので、そうすると結局がんが発覚してから2年ほどしないと現金が手元に入ってこないものなのですが、通常がんの場合は、お金をもらえるならばもっと早期に必要となるもののはずですし、2年という期間は、治る人はもうすでに治る時期ですし、それまで持たずに亡くなる方もおられる時期になってしまうと思いますので、多くのケースでは意味をなさないであろうということ。

また、このように時間がかかるものですから、うちでお受けした障害年金の依頼者さんも結果が出るまでにお亡くなりになられるというようなケースもこれまで何件もありました。これでは、全く意味がないと言ってもいいでしょう。

というか、結果が出るまで何か月もジリジリと待たされた結果体調を悪化させてしまって、それで亡くなっちゃったんじゃないだろうかと思ったケースも何件もありました。

それに、障害年金の仕組みとしては、がんであるということだけでもらえるものではないのも事実です。

また、障害年金は基本は65歳を過ぎると申請自体難しい場合が多いものですが、がんの罹患の年代別割合から考えると、高齢になった方がやはり多いわけですから、そもそも申請不可というケースが圧倒的に多いはずです。

「がんも障害年金の対象です」と社労士が謳うことによって、「じゃあ、それだけで万全なんだな」と思われてしまうのはよろしくないと思っています。

 

(やっぱりがん保険は必要です)

そういう意味では、がんと診断されただけで即支給されるがん保険というのはやはり必要なものだと思います。がん保険はがんに特化した医療保険ですからわずかな掛け金で済むものですし、例えば結婚したとか子供が出来たとか、友人知人などでがんになった人がいるとか、年末になって確定申告のことを考える時とかでも、きっかけは何でもいいですので、加入の検討をおすすめします。